インド更紗


15世紀ごろにコットンのふるさとインドからヨーロッパや日本に交易品として渡ってきた綿布。当時のヨーロッパ人や日本人はその美しい色や柄に魅せられて大ブームを巻き起こしました。その綿布が「インド更紗」です。インド更紗は手書きのものもありますが、木版プリントによって美しい柄の布を大量に生産することができるようになりました。

インド更紗の源流は紀元前にさかのぼり古代インダス文明の時代です。その頃からインドでは木綿栽培が行われていました。木綿の織りや染めも始まっていました。そして紀元前後には木綿を色彩豊かに染める更沙の技法が編み出されました。木綿は藍や茶以外の植物染料の色が定着しにくく、鮮やかな赤、黄、緑などが出しにくい。しかし、インドではミョウバンや酸化鉄を媒染剤として使い、色を定着される技法が確立されました。特に茜の根で染める鮮やかな赤はインド更紗ならではの真っ赤な太陽のような色です。

インド更紗の模様も魅力的です。花柄、ペイズリー(マンゴー)、小鳥、孔雀、象、などインドの自然を表現したデザイン。特にヨーロッパ人を魅了したのは花模様。パターン化された小花の木版プリントの連続模様や精密な手書きの模様。現在でもインドのラジャスターン州は伝統工芸が盛んで州都ジャイプル郊外にあるサンガネールは木版プリント生地の主要生産地です。伝統的なデザインの木版プリントは今でも生産されています。

インドでは16世紀前半にムガル帝国が誕生し、デザインに幾何学的なイスラム好みの模様が取り入れられたといわれています。インドのアグラにあるタージ・マハルはムガル帝国第5代皇帝、シャー・ジャハーンが愛する妻のために建設した霊廟ですが、この建物にもたくさんの美しいパターンの花柄や幾何学模様があります。インドは国民の8割くらいがヒンドゥー教を信仰していますが、ムガル帝国が支配していた頃の名残りがたくさんあるようです。(下はタージマハールの梁の模様。大理石に象嵌細工で色とりどりの花模様が埋め込まれています。)
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